「給与を上げれば、若手は辞めずにいてくれるでしょうか」
賃上げに踏み切る企業が増える一方で、若手の離職が止まらず、次に何を手当てすればよいのか迷うことはないでしょうか。若手が挙げる離職の理由には、ここ数年で順位の変化が見られます。最新の調査をどう読み、自社の何を点検すればよいのかを考えてみます。
若手が挙げる離職理由に、順位の変化が見られる
リクルートマネジメントソリューションズが2026年2月に実施した「若手の離職実態調査2026」では、実際に離職した人が挙げた理由の上位は、次のようになっています。なお、有効回答数968名は社会人1〜3年目の正社員・正職員を対象とした調査全体の人数で、この設問に答えたのは、そのうち実際に離職した人たちです。
- 労働環境・条件がよくない:22.4%
- 仕事で自分の能力や持ち味を発揮できない:21.6%
- 希望する働き方ができない:19.2%
目を引くのは2位です。「仕事で自分の能力や持ち味を発揮できない」は、2023年の前回調査では12位でした。一方で「給与水準に満足できない」は、前回2位(18.4%)から今回は6位(8.0%)へと下がっています。
ここで気をつけたいのは、この結果が「賃上げをしたのに辞めた」ことを示しているわけではない、という点です。分かるのは、離職した人が理由として選んだ項目の割合と、その並び方が変わったということだけです。それでも、待遇以外の部分に目を向ける材料にはなりそうです。
「辞めたい」と「実際に辞めた」では、理由の並びが違う
同じ調査には、もう一つ考えさせられる数字があります。「辞めたいと思った理由」を尋ねた設問では、1位が「仕事にやりがい・意義を感じない」(21.8%)、2位が「給与水準が満足できない」(19.5%)、3位が「自分のやりたい仕事ができない」(14.1%)でした。給与への不満は、こちらでは引き続き上位にあります。
つまり、給与への不満がなくなったわけではないのでしょう。ただ、辞めたい気持ちが芽生える段階と、実際に会社を離れる段階とでは、前に出てくる理由の並びが違っている。そう読むほうが、この調査には忠実だと思われます。同じ人を追いかけて確かめた調査ではないため、因果関係として断定はできませんが、賃上げだけで手を打ったつもりになるのは早い、とは言えそうです。
この調査では、「私と職場の上司の仕事の進め方は合っている」という項目のスコアにも、在職者と離職者とで差が見られたことが報告されています(離職を考えたことがある在職者が3.3、離職者が2.8)。仕事の進め方が合わないことが離職を引き起こした、とまでは言えませんが、定着との関連が見られた項目として、目を向ける価値はあるでしょう。本人の特性と職場環境の組み合わせについては、仕事の「やりにくさ」はどこから来るのかでも取り上げています。
自社で点検するなら、この3つ
では、待遇のほかに何を見ればよいのでしょうか。上位に挙がった項目に沿って、3つに分けて点検すると整理しやすくなります。それぞれ、面談でそのまま使える質問例を添えます。
仕事内容と働く条件
1位の「労働環境・条件がよくない」と3位の「希望する働き方ができない」は、給与そのものというより、日々の働き方に関わる部分です。担当している量、勤務時間、休みの取りやすさ、働く場所の選択肢が、本人の希望とどれくらい離れているかを確かめます。
質問例:「いまの担当量や働く時間で、無理が出ているところはありますか」
指示・相談の進め方
仕事の頼み方、相談のしやすさ、報告の求め方といった部分です。ここは上司側の進め方の癖が出やすく、本人からは言い出しにくいところでもあります。「合っていないかもしれない」という前提で聞くほうが、答えは返ってきやすくなるでしょう。相手に応じて関わり方を調整する考え方は、思考タイプをマネジメントに活かすにはで整理しています。
質問例:「仕事を頼まれたとき、何から始めればよいか迷う場面はありますか」
直属の上司が本人に尋ねる場合は、「私からの頼み方で、わかりにくいと感じるところはありますか」と聞くこともできます。
本人が感じている手応え
2位の「能力や持ち味を発揮できない」に対応する部分です。ここは本人の実感が中心になるため、担当している業務や日々の記録とも照らし合わせながら確かめます。手応えのあった場面を尋ねると、任せている仕事と本人の持ち味とのズレが見えてくることがあります。
質問例:「これまでの経験や得意なことを生かせた仕事はありましたか」
3つとも、その場ですぐに答えが出るとは限りません。それでも、点検の視点を分けておくと、「本人のやる気の問題」で片づけずに済みます。持ち味の出方や負荷を感じやすい場面を、配属の前からある程度つかんでおきたい場合には、適性検査の結果を材料の一つとして使うこともできます。もっとも、これは向き不向きを判定するためのものではなく、力を発揮しやすい環境を考えるための手がかりです。性格の傾向と早期離職の関係については、早期離職と性格特性の関係とはで詳しく扱っています。
まとめ
最後に、要点を整理します。
- 実際に離職した人が挙げた理由では「能力や持ち味を発揮できない」が前回12位から2位に上がり、「給与水準に満足できない」は2位から6位に下がりました
- ただし「辞めたいと思った理由」では給与が2位に残っており、給与の問題がなくなったわけではありません
- 待遇の見直しと並行して、仕事内容と働く条件・指示や相談の進め方・本人が感じている手応えの3点を点検すると、打ち手を絞りやすくなります
調査の数字が、そのまま自社に当てはまるわけではありません。順位の変化は、自社の若手に何を聞いてみるかを考えるきっかけとして使うのがよいのではないでしょうか。
\ 入社後のズレは、入り口から始まっているかもしれません /
面接だけでは、働き方の傾向や負荷を感じやすい場面までは見えにくいものです。面接で起きやすい偏りのセルフチェック、適性検査でわかること・わからないことの早見表、採用判断前のチェックリストを、無料資料にまとめました。
▶ 無料資料「面接だけに頼らない採用判断ガイド」をダウンロード
SurveyYOUでできること
SurveyYOUは、面接だけでは見えにくい人物の傾向を把握するための適性検査です。Part1 性格では、性格特性に加えて、働き方の傾向や負荷を感じやすい場面などを確認でき、「どんな環境なら力を発揮しやすいか」を考える材料が得られます。また、思考タイプからは、物事の捉え方や仕事の進め方の違いが見えるため、指示の出し方や相談の受け方を本人に合わせて調整するときの手がかりになります。採用時に得た情報を、入社後の関わり方や配属の見直しにも使うことで、定着に向けた打ち手を考えやすくなるでしょう。

