「あの人はこの仕事に向いていない」――そう感じたとき
配属した部下が、なかなか力を発揮できていないように見える。そんなとき、本人の能力ややる気の問題として片づけてしまいがちです。けれど、その「やりにくさ」は、本人の特性と職場環境の組み合わせから生じていることもあります。この記事では、やりにくさをどう捉え直し、何を見直せばよいかを考えます。
「向き不向き」の前に、特性と環境の相性を見る
仕事のやりにくさに気づいたとき、つい「この人はこの仕事に向いていない」とまとめてしまいがちです。けれど、その前に一度立ち止まって考えたいのが、本人と環境の「相性」です。
心理学では、人の行動や仕事の結果を、本人の特徴だけでなく、本人と環境の組み合わせから捉える見方があります。「個人-環境適合」と呼ばれる考え方です。ここでいう本人側の要素は、性格特性だけではありません。能力や価値観、その人が仕事に何を求めているかなど、いくつもの「合い方」が含まれるとされています。この記事では、そのなかでも適性検査で比較的捉えやすい本人の特性と、職場環境との組み合わせに注目します。
この見方に立つと、やりにくさは「本人の欠点」そのものではなく、特性と環境の組み合わせから生じている可能性が見えてきます。だとすれば、確かめたいのは「向いているかどうか」ではなく、「どの環境で、どんなやりにくさが起きているのか」です。まずはこの視点の切り替えが出発点になります。
同じ特性が、環境しだいで強みにも負荷にもなる
特性そのものに、良い・悪いの優劣があるわけではありません。同じ傾向でも、力を発揮しやすい環境と、負荷を感じやすい環境が異なる、という見方のほうが実際に近いでしょう。
たとえば、一つのことにじっくり集中して取り組む傾向がある人は、静かに深く考える仕事では持ち味が生きやすい一方、割り込みや同時進行が多い環境では消耗しやすいかもしれません。反対に、人と関わりながら進めることを好む傾向がある人は、相談や連携が多い場では力を出しやすい一方、一人で黙々と進める作業が続くと物足りなさを感じることもあります。特性が変わったわけではなく、環境との組み合わせによって、現れ方が変わっているわけです。こうした特性と職場環境のズレは、早期離職と性格特性の関係を考えるうえでも、一つの視点になります。
ここで役に立つのが、「環境」を一つのかたまりで見ず、いくつかに分けて捉えることです。たとえば次のような切り口があります。
- 仕事内容:求められる正確さ、スピード、変化の量、任される裁量の大きさ
- 仕事の進め方:一人で集中して進めるか、相談しながら進めるか
- 人間関係:関わる人数、コミュニケーションの頻度
- 管理の方法:細かく指示を出すか、任せるか
- 職場の条件:割り込みの多さ、静けさ、業務量、勤務時間
こうして分けてみると、「この仕事全体が合わない」のではなく、「この一部分が負荷になっている」と、より具体的に見えてくることがあります。
「本人に合う仕事」を決める前に、環境を分けて確認する
では、実際にやりにくさに気づいたとき、どう確かめていけばよいのでしょうか。ここでは3つの段階に分けて考えてみます。
まず、どの場面でやりにくさが起きているかを特定します。「この仕事に向いていない」とひとまとめにせず、会議の場か、顧客対応か、締切前か、細かな確認作業のときか、というように具体的な場面まで見ていきます。やりにくさは仕事全体ではなく、特定の場面に集中していることが少なくありません。
次に、本人側と環境側を分けて考えます。本人の特性だけに原因を求めるのではなく、業務量やスピード、任されている裁量、指示の出され方、人と接する多さといった環境の側にも目を向けます。同じ環境でも負荷の感じ方は人によって異なりますから、本人の特性と環境のどの組み合わせでやりにくさが生じているのかを見ることが大切です。
そのうえで、変えられる部分から小さく調整します。いきなり配属変更を考えるのではなく、役割分担の見直し、指示の出し方、相談の頻度、集中できる作業時間の確保など、手をつけやすいところから試すほうが現実的です。小さな調整で手ごたえが変わることもあります。
こうした確認のなかで、適性検査は考える材料になります。適性検査は「この仕事に向いているか」を判定するものではなく、その人がどのような環境で力を発揮しやすく、どのような場面で負荷を感じやすいかを考えるための手がかりです。たとえばストレス耐性も、「強い・弱い」で人を分けるためのものではなく、どんな場面で負荷を感じやすいかを見て、職場環境や関わり方を検討するための情報として活かすものです。検査の結果と本人の実感がずれることもありますから、その場合はどちらかを正解とせず、場面や状況による違いを一緒に確かめていくとよいでしょう。
まとめ
最後に、要点を整理します。
- 仕事のやりにくさは、本人の欠点そのものではなく、特性と職場環境の組み合わせから生じていることがあります。特性に優劣があるのではなく、力を発揮しやすい環境と負荷を感じやすい環境が異なる、という見方が実際に近いでしょう。
- 「向いていない」とまとめる前に、どの場面でやりにくさが起きているかを特定し、本人側と環境側を分けて考え、変えられる部分から小さく調整していく順序が役立ちます。
- 適性検査は向き不向きを判定するものではなく、どんな環境で力を発揮しやすく、どの場面で負荷を感じやすいかを考える材料として活かせます。
やりにくさに気づいたときにまず見直したいのは、配属の是非よりも、日々の仕事の進め方・任せ方・関わり方です。環境や関わり方を少し調整するという視点が、本人が力を発揮しやすい状況づくりの手がかりになるでしょう。
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SurveyYOUでできること
SurveyYOUは、性格特性や知的能力、思考タイプなど、複数の視点から人物理解を支援する適性検査です。今回取り上げた特性と環境の相性についても、その人の特性や負荷を感じやすい場面を確認し、実際の職務内容や職場環境と照らし合わせることで、配属後のフォローや日々の関わり方を考える材料として活用できます。合否を機械的に決めるためのものではなく、一人ひとりが力を発揮しやすい環境を考えるための補完データとして役立ちます。


