検査結果は「答え」ではなく「考える材料」――決めつけない進路指導

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「この結果が出たから、自分はこうなんですね」――そう言い切る学生に、どう返していますか?

検査結果をひとつの言葉で決めつけてしまう学生に、どう返すか迷うことはないでしょうか。
検査を自己理解の材料として位置づける考え方は適性検査は学生を評価する道具ではないで触れました。
本記事では一歩進めて、その結果を「答え」ではなく「考える材料」としてどう読むかを整理します。

なぜ結果を「答え」として受け取ってしまうのか

学生が検査結果をひとつの正解のように受け取ってしまうのには、無理からぬ理由があります。
これまで学生たちは、入試や定期テストのように「正しい答えがあり、それに近づけば評価される」場面を数多く経験してきました。
その感覚が持ち込まれると、性格や傾向を映した結果も「これが自分の正解だ」と読まれてしまいがちです。

わかりやすい言葉で自分を言い当ててもらえることには、安心感もあります。
「あなたはこういうタイプ」と示されると、迷いのなかにいる学生ほど、その言葉にすがりたくなるものでしょう。
ただ、ここには気をつけたい落とし穴があります。

ひとつの結果を「答え」として固定してしまうと、「自分はこういう人間だから、これしかできない」と考えの幅を自分から狭めてしまうことがあるのです。
たとえば「人と協力するのが得意と出たので、自分は事務系が向いているんですね」と早々に結論づけてしまう。
けれども、協力するのが得意という傾向は、事務の仕事だけに活きるものではありません。
接客でも、チームでものづくりをする現場でも、力を発揮しやすい場面はいくらでもあるでしょう。
傾向を「○○だから△△」という一本の線で進路に結びつけてしまうと、本来もっと広かったはずの選択肢が見えにくくなってしまいます。

「答え」と「考える材料」はどう違うのか

では、結果を「考える材料」として読むとは、どういうことでしょうか。

「答え」として読むというのは、結果をそこで終わらせてしまう読み方です。
「協力が得意と出た。だから自分はこういう人間だ」と、そこで思考が止まってしまいます。

一方「考える材料」として読むというのは、結果を出発点にして問い直しを始める読み方です。
「協力が得意という傾向があるのかもしれない。では実際の自分は、どんなときにそう感じるだろう」と考えを進めていく。
結果はゴールではなく、自分を振り返るための入口になります。

大切なのは、同じ傾向でも、場面によって強みにも課題にもなりうるという点です。
周囲と協力して進めるのが得意な傾向は、チームをまとめる場面では強みになりますが、自分の意見を伝える必要がある場面では、相手を優先しすぎてしまうこともあるでしょう。
どちらか一方が正しいのではなく、「どんな場面で活きて、どんな場面では気をつけたいか」を本人が考えていくこと。
その材料として結果を使うと、自己理解はぐっと深まります。
(検査結果を「自分を別の角度から見直す鏡」として捉える考え方は、適性検査は学生を評価する道具ではないでも詳しく触れています。)

なお、こうした読み方を支えるためにも、結果を固定的なラベルとして手渡さないことが大切でしょう。
「あなたは○○タイプ」という一言だけが残ってしまうと、学生はそのラベルに自分を合わせて考えるようになってしまいます。
結果は決めつけの答えではなく、本人が考え続けるための材料だという前提を、先生と学生で共有できるとよいでしょう。

先生ができる「決めつけない」関わり方

結果を「考える材料」に変えられるかどうかは、先生の関わり方に大きく左右されます。

まず心がけたいのは、結果を結論として手渡すのではなく、問いの入口として使うことです。
「あなたはこういうタイプだね」と言い切る代わりに、「この結果を見て、自分ではどう感じましたか」「当てはまると感じた場面はありますか」と本人に問い返してみる。
こうした問いかけは、学生が自分の言葉で自分を語り直すきっかけになります。
主役はあくまで学生本人であり、先生はその気づきを引き出す役割を担うのだと考えると、関わり方も変わってくるでしょう。

次に、特性から進路を直接結びつけないことも大切です。
「協力が得意だからこの仕事」と決めるのではなく、本人がどんな環境や関わり方でなら力を発揮しやすいかを一緒に考える。
その視点に立てば、結果は学生を狭い枠にはめるものではなく、選択肢を広げる材料になります。

そして、先生の見立てと検査結果が食い違って見えることもあるでしょう。
そのときも、どちらが正しいかを急いで決める必要はありません。
「なぜそう見えるのだろう」と一緒に考えること自体が、学生の理解を多面的にしてくれるはずです。

まとめ

最後に、要点を整理します。

検査結果を「答え」として固定してしまうと、「自分はこうだから」と考えの幅を自分から狭めてしまうことがあります。
同じ傾向でも場面によって強みにも課題にもなるため、結果は決めつけではなく「では実際はどうだろう」と問い直すための材料として読むことが大切です。
そして先生は、結果を結論として手渡すのではなく、本人への問いかけを通じて主体的な自己理解を支える役割を担います。

結果を「答え」ではなく「考える材料」として手渡すこと。
その姿勢が、学生が自分の進路を自分の言葉で語れるようになる支えになるでしょう。

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結果は学生を評価するためのものではなく、一人ひとりが力を発揮しやすい進路を考えるための材料として役立つでしょう。

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