「結果ではこう出ているのに、本人はそう思っていない」――そのズレ、どう扱いますか?
適性検査の結果を前に学生と話していると、結果と本人の実感が食い違う場面が起こることがあります。 どちらかを正解にして片づけるのではなく、なぜそう感じるのか、どんな場面なら当てはまるのかを一緒に見ていく。 この記事では、ズレが出たときに理由を一緒に探る関わり方を、進路指導の現場に沿って考えていきます。
ズレは、本人理解を深める入口になる
検査結果と、面談で受ける印象や本人の実感。 この二つが食い違って見えることは、めずらしくありません。 ただ、食い違ったからといって、どちらかがすぐに間違いというわけではないでしょう。
検査は、全員に共通の質問を通して傾向を整理するものです。 面談や本人の実感は、その場のやりとりやこれまでの経験を通して見えてくるものです。 同じ学生を別の角度から見ているので、見え方が違ってくるのは、むしろ自然なことだと言えます。
この記事では、そのうえで「ズレが出たとき、それをどう扱うか」に絞って考えていきます。 大切なのは、ズレを問題として片づけることではなく、本人理解を深める入口として使うことでしょう。
ズレはなぜ起きるのか――自分が見る自分と、まわりから見える自分
そもそも、なぜ結果と本人の実感はズレるのでしょうか。 心理学でも、自分が思う自分と、まわりから見える自分は、必ずしも一致しないものとして考えられています。 どちらかが正しいというより、見えている角度が違う、と考えるとよいでしょう。 ズレが起きる背景には、たとえば次のようなことが考えられます。
一つは、場面によって出方が変わることです。 学校生活、友人との関わり、家庭、アルバイトなど、場面が変われば振る舞い方も変わることがあります。 ある場面では落ち着いて見える人が、別の場面では違った様子を見せることも珍しくありません。
もう一つは、自分では気づきにくい面があることです。 本人にとっては当たり前の行動でも、まわりから見ると一つの特徴として映っていることがあります。 検査結果が、そうした本人が意識しにくい面を映し出していることもあるでしょう。
この点は、自己理解を考えるときによく使われる「ジョハリの窓」の考え方にも通じます。 自分では気づいていないけれど、まわりからは見えている面があると考えると、検査結果と本人の実感がズレることも、自己理解を広げるきっかけとして捉えやすくなります。
そして、受検したときの状態や答え方が影響することもあります。 体調や気分、その日の緊張、「こう見られたい」という気持ちなどが、回答に表れることもあります。 これらは、結果を疑うためではなく、ズレの背景を一緒に見ていくための手がかりとして押さえておきたいところです。
理由を探るときは、一方的な決めつけにしない
ズレの理由を探るといっても、先生が「これはこういう意味だ」と決めてしまうと、結局は答え合わせに逆戻りしてしまいます。 大切なのは、学生本人が自分の経験と照らし合わせて考えられるようにすることでしょう。 そのためには、場面に即して問いかけていくのが役立ちます。
たとえば、「そう感じるのは、どんな場面が多い?」「学校ではどう?家ではどう?」「まわりから、そう言われたことはある?」「自分では違うと思う部分はどこ?」といった問いかけです。 こうした問いは、結果が合っているかを確かめるためではなく、本人が自分を別の角度から見つめ直すためのものです。
主役は、先生の解釈ではなく、学生本人の自己理解です。 理由を一緒に探る時間そのものが、本人にとって自分を知る機会になっていくのではないでしょうか。
まとめ
最後に、要点を整理します。
検査結果と本人の実感がズレることは、悪いことではなく、本人が自分を見つめ直す入口になります。 ズレが起きる背景には、場面による出方の違い、自分では気づきにくい面、受検時の状態や答え方の影響などが考えられます。 理由を探るときは先生が決めつけず、場面に即した問いかけで、学生自身が経験と照らして考えられるようにすることが大切でしょう。
検査結果は、学生を決めつけるためのものではありません。 ズレを否定したり結果を押しつけたりするのではなく、本人と一緒に理由を探る材料として使う。 その関わり方が、面談を一段深いものにしてくれるでしょう。
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