「結果を渡して終わり」にしないために
適性検査の結果を学生に返すとき、どう伝えればよいか迷うことはないでしょうか。 同じ結果でも、伝え方によって学生が身構えてしまうこともあれば、自分を見つめ直すきっかけになることもあります。 大切なのは、先生が一方的に説明することではなく、学生が自分の言葉で考え始められるようにすることです。 この記事では、心理学の考え方もふまえながら、フィードバック面談の進め方を一緒に考えていきます。
面談を始める前に――「渡す」ではなく「一緒に読む」構えをつくる
検査結果を学生に返す場面では、結果を渡すこと自体が目的になってしまうことがあります。 けれども、紙を手渡して説明を終えるだけでは、学生の自己理解にはなかなかつながりにくいものです。 結果は学生を評価するための成績表ではなく、自分を知るための鏡のようなものだと考えると、面談の入り方も変わってくるでしょう。
そのためにまず意識したいのが、結果を「答え」ではなく「考える材料」として一緒に眺める姿勢です。 「あなたはこういうタイプだ」と決めつけて手渡すのではなく、「こういう傾向があるのかもしれない、では実際はどうだろう」と本人に問い返していく。 この構えがあるだけで、学生は結果を押しつけられたものではなく、自分について考えるきっかけとして受け取りやすくなります。
もう一つ気をつけたいのが、先生自身の見立てです。 日ごろ接している学生の印象が、結果の読み取りに影響することもあります。 「この子はこういうタイプだから」と先に結論を決めてしまうと、結果や本人の言葉がその枠に合わせて読まれてしまうこともあるでしょう(心理学でいう確証バイアスにも関わる視点です)。 だからこそ面談の前に、いったんその印象を脇に置き、結果と本人の言葉を並べて見ていく準備をしておきたいものです。
話す順番と、本人の言葉の引き出し方
フィードバック面談で最も大切にしたいのが、話す順番です。 先生が結果を先に解説してしまうと、学生はそれを「正解」として受け取り、自分の実感を口にしにくくなります。 おすすめは、本人の実感を先に聞き、そのあとで結果を照らし合わせ、ズレも含めて対話していく流れです。
心理学では、相手の話をさえぎらずに受けとめる「傾聴」が、本人の気づきを促すと考えられています。 先生が答えを与えるのではなく、学生本人の受け止めを大切にしながら話を進める。 この姿勢が、学生が自分の言葉で語り出すことを後押しするでしょう。
実際の面談では、次のような問いかけが使いやすいでしょう。
「この結果を見て、自分に近いと感じるところはありますか?」 「少し意外だったところはありますか?」 「普段の学校生活や実習で、思い当たる場面はありますか?」
こうした問いは、結果の正誤を確かめるためのものではありません。 学生が結果を手がかりに、自分の経験や感覚を言葉にしていくためのものです。 先生が解説する時間を少し減らし、学生が話す時間を増やすくらいの意識で、ちょうどよいかもしれません。
気になる結果をどう扱うか
面談で難しいのは、学生にとって受け止めづらい結果が出たときの扱い方でしょう。 ここで気をつけたいのは、気になる結果を「弱み」と決めつけないことです。
ある項目が低く見える場合でも、それをすぐに「できないこと」と捉えるのではなく、「どんな環境なら力を出しやすいか」「どんな場面では負担を感じやすいか」という視点で読み替えることが大切です。 同じ傾向でも、置かれる環境によって強みにも弱みにもなりえます。 「合わない」ではなく「合いやすい環境を一緒に探す」という向き合い方が、学生の前向きな一歩につながるでしょう。
また、結果と本人の自己像が食い違って見えることもあります。 そのときも、どちらかを正解と決めるのではなく、「なぜそう感じるのだろう」と一緒に考えてみる。 違和感のある結果ほど、学生が自分を別の角度から見つめ直すきっかけになることもあります。
まとめ
最後に、要点を整理します。
検査結果は渡して終わりにするのではなく、学生と一緒に読む姿勢で向き合うことが出発点になります。 面談では先生が解説しすぎず、本人の実感を先に聞いてから結果を照らし合わせ、学生が自分の言葉で語れるように問いかけていくことが大切です。 そして気になる結果は「弱み」と決めつけず、「どんな環境なら力を発揮しやすいか」という視点で一緒に読み替えていく。
フィードバック面談は、結果を伝える場である前に、学生が自分について考え始める場です。 先生の落ち着いた問いかけが、その大切なきっかけになるでしょう。
\ 学生との面談を、感覚だけに頼らず進めたいときに /
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