「あの子は打たれ弱いから」――そう言いたくなる場面ほど、少し立ち止まってみませんか
面接で落ち込んで帰ってくる、エントリーシートがなかなか通らない、「もう就活を休みたい」と口にする。進路指導をしていると、そうした学生を前に、かける言葉を選びかねる場面があるでしょう。つい「この子は打たれ弱いから」と受け止めたくなりますが、その一言でかえって見えなくなるものもあります。ここでは、落ち込みやすさをどう理解し、面談でどう関わるかを一緒に考えてみます。
「打たれ弱い」というラベルを一度外す
学生が落ち込んでいると、「弱いから」「メンタルが強くないから」と、その子の性格として片づけたくなることがあります。けれども同じ出来事に出会っても、受け止め方には幅があります。一度の不採用を「今回は縁がなかった」と捉える学生もいれば、「自分はどこに行っても通用しない」と感じてしまう学生もいます。この違いは、性格の優劣というより、出来事の理由をどう説明するかの癖に近いものです。
心理学では、うまくいかない出来事の原因をどう説明するかに個人差がある、という「説明スタイル」という考え方が知られています。楽観的な説明の仕方をしやすい人もいれば、悲観的な説明の仕方をしやすい人もいる、という見方です。ただしこれは人を「楽観型」「悲観型」と二つに分けて決めつけるためのものではありません。同じ学生でも場面によって揺れますし、受け止め方は関わり方や経験のなかで少しずつ変わっていくものと考えられています。
先生にとって大事なのは、この考え方を学生に教えることではありません。「弱い子だから」という見方をいったん外し、「今、この学生は目の前の出来事をどう受け止めているのだろう」と問い直すこと。その一歩だけで、次にかける言葉は変わってきます。
学生の一言から受け止め方に気づく――面談での聴き方
とはいえ、受け止め方は目には見えません。手がかりになるのは、学生自身の言葉です。たとえば、こんなやりとりを思い浮かべてみてください。
学生が「もう就職、向いてないです」とこぼしたとき、すぐに「そんなことないよ」と励ますより、まずは、そう感じた理由や背景をていねいに聴いてみます。
学生「もう就職、向いてないです」
先生「そう感じたのは、今回のことがきっかけだった?」
学生「何社受けても通らないので……」
先生「今回だけでなく、これからも難しいように感じているんだね」
こうして問い返すことで、学生が自分の受け止め方を言葉にするきっかけになります。先生が答えを与えるのではなく、学生の言葉を受けて確かめていくのがよいでしょう。聴くときの手がかりとして、次の三つの視点が役に立ちます。
一つ目は、どのくらい続くと捉えているか。「今回はうまくいかなかった」のか、「これからもずっとだめ」なのか。「前にも同じように感じたことがあった?」と尋ねてみると、本人の感覚が見えてきます。
二つ目は、どこまで広がると捉えているか。一社の不採用を「この会社とは合わなかった」と捉えているのか、「どの会社でも同じ」と捉えているのか。「この経験は、他の企業でも同じだと思う?」という問い掛けが手がかりになります。
三つ目は、原因を自分だけに求めていないか。「全部自分が悪い」と抱え込んでいないかを確かめます。「今回うまくいかなかった理由を、○○さん自身はどう考えている?」と聞き、本人の準備や行動だけでなく、企業との相性や選考の状況なども含めて、原因を一緒に整理していきます。原因を自分に求めること自体が悪いわけではありません。「準備が足りなかったので次は変えてみよう」のように、自分に引き寄せながらも次につながる受け止め方もあるからです。
大切なのは、この三つで学生を分類したり、「あなたは悲観的だね」と決めつけたりしないことです。あくまで、本人が自分の受け止め方に気づくための問い掛けとして使います。答えを先生が用意するのではなく、学生自身が「言われてみれば、今回のことだけかもしれない」と気づけると、それだけで肩の力が少し抜けることがあります。
面談だけでは気づきにくいこともある――検査結果を支援のきっかけに
もっとも、こうした受け止め方の癖は、短い面談のなかではなかなか見えてこないこともあります。ふだんは明るく振る舞っていて、面談では弱音を見せない学生もいます。コアスキルが説明スタイルそのものを判定するわけではありませんが、ストレスの感じ方や心理的な負担を抱えやすい傾向など、面談だけでは見えにくいメンタル面の特徴を知ることが、声をかける一つのきっかけになります。
コアスキルのメンタル面に関する結果は、学生本人にそのまま返すものではなく、学校の先生が支援を考えるための情報として提供されます。ですから、生の点数を本人に見せて「あなたは悲観的だ」と伝えるような使い方はしません。あくまで、気にかけておきたい学生に先生が早めに気づき、声をかけるきっかけとして扱うものです。
順番としては、検査結果を先に見て答え合わせをするのではなく、まず本人がどう感じているかを聴き、そのうえで検査結果を重ねてみるのがよいでしょう。もし面談での印象と結果がズレたとしても、どちらかが正解というわけではありません。なぜズレるのかを一緒に考えることが、その学生の理解につながります(この点は「検査結果と本人の実感がズレたとき」でもふれています)。
声のかけ方も、結果をなぞるのではなく、本人の言葉を引き出す方向に置きます。「最近どう?」と気軽に切り出し、「無理してない?」と一言添える。落ち込みやすい学生にとって必要なのは、受け止め方を直されることよりも、気にかけてくれる人がいるという安心かもしれません。
なお、落ち込みが長く続いている、欠席が増えている、眠れない・食べられないといった様子がある場合や、自分を傷つけることをほのめかす発言があった場合は、就職担当の先生だけで抱え込まず、学生相談室や保健室などの専門部署と連携することも大切です。検査結果は、こうした判断を単独で行うためのものではなく、日頃の様子や本人の話とあわせて支援につなげるための情報として扱います。
まとめ
最後に、要点を整理します。
- 落ち込みやすさを「打たれ弱い性格」と決めつけず、「今どう受け止めているか」に目を向けると、かける言葉が変わります。
- 面談では、いつまで続くと感じているか、どこまで広がると感じているか、原因を自分だけに求めていないかを手がかりに、決めつけずに問い掛けることで、学生自身の気づきを促せます。
- 検査結果は本人を評価するためではなく、先生が支援のきっかけをつかむための材料として、本人の実感を聴いたうえで重ねて使います。
落ち込みやすい学生への関わりに、決まった正解はありません。それでも、ラベルを一度外して受け止め方に耳を傾けることが、支援の入り口になるでしょう。
\ 落ち込みやすい学生の背景に、早めに気づくために /
学生のストレスの受け止め方やメンタル面の傾向は、日々の面談だけではなかなか見えてこないことがあります。コアスキル適性検査は、先生が支援のきっかけをつかむための材料として、こうした側面をていねいに拾い上げます。コアスキル適性検査の詳しい資料を無料でお送りします。分析結果のサンプルや導入の流れもご確認いただけます。
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コアスキルでできること
コアスキルは、学生が「今の自分」を客観的に知るための学生向け自己分析診断テストです。
8つの性格タイプや社会人に求められる力(社会人基礎力)の傾向がわかり、学生自身の自己PRや面接・ES対策に活用できます。
先生にとっては、学生との面談を進めるための材料としてお使いいただけます。また、メンタル面に関する結果は学校の先生にのみ提供され、気にかけたい学生への早めの声かけや、一人ひとりに合った関わり方を考える手がかりになります。結果は学生を評価するためのものではなく、一人ひとりが力を発揮しやすい進路を考えるための材料として役立つでしょう。

