自己分析を自己PRにつなげる――検査結果から「伝える材料」を整理する

検査結果を手がかりに学生の自己分析を自己PRの伝える材料へ整理する先生の関わり方を解説するコアスキルのブログ記事アイキャッチ画像
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「強みは何ですか」と聞くと、毎回同じところで止まってしまう学生はいないでしょうか

就職指導の場面で、「強みが分からない」「書くことがない」と言葉に詰まる学生は少なくないでしょう。 その多くは、語れる経験がないというより、自分の経験を「伝える材料」として整理できていないだけかもしれません。 この記事では、検査結果を手がかりに、先生が学生の材料整理をどう支えられるかを、進路指導の現場に沿って考えていきます。

「強みが書けない」の背景にあるもの

自己PRの指導をしていると、まじめに取り組む学生ほど「自分には書けるようなことがない」と言うことがあります。 本人はやる気があるのに、いざ自分の強みを言葉にしようとすると手が止まってしまう。 この状態を「経験が足りない」と受け取ってしまうと、関わり方の糸口が見えにくくなります。

ここで一つ手がかりになるのが、自分の考えや特徴を、一歩離れたところから眺める働きです。 心理学では、こうした「自分を自分で見つめる力」をメタ認知と呼んでいます。 自分の行動を外側から捉える力には個人差があり、若い時期にはまだ十分に使い慣れていないことも少なくありません。

学生が自分の強みに気づきにくいのは、力がないからではなく、この「一段上から自分を見る」ことに慣れていないためだと考えられます。 毎日ふつうにやっていることは、本人にとって当たり前すぎて、わざわざ強みとして意識にのぼりにくいものです。 「人の話をよく聞く」「頼まれた作業を最後まで続ける」といった姿も、本人は「誰でもやっていること」と感じていることが少なくないでしょう。 一人では気づきにくいからこそ、周囲からの言葉が手がかりになることがあります。 先生が外側から見えている姿を言葉にして返すことが、学生が自分を整理する助けになります。

検査結果は、そのまま自己PRになるわけではない

ここで気をつけたいのは、検査結果をそのまま自己PRの答えとして渡さないことです。 たとえば「協調性が高いと出ているから、それを書けばいい」と伝えてしまうと、学生は自分の言葉ではなく、検査のラベルをそのまま書き写すだけになってしまいます。 検査結果は、あくまで自分を整理するための材料であって、自己PRの完成形ではありません。

これまでの記事でも触れてきたように、検査結果は「答え」ではなく「考える材料」です。 結果と本人の実感がズレることもありますし、先生の見立てにも思い込みが入り込むことがあります。 自己PRの材料整理でも、この考え方は変わりません。 結果を正解として上から渡すのではなく、本人の経験に結びつけて問い返していく関わりが土台になります。

具体的には、傾向を伝えたうえで、その傾向が表れた場面を本人にたずねてみる方法があります。 「この傾向が出やすかった場面って、何か思い当たる?」 「これまでで、それが役に立ったと感じたことはある?」 こうした問いかけによって、検査の言葉が、その学生自身の経験と結びついた「伝える材料」に変わっていきます。 このやりとりが、今回の記事でいちばん大切な部分です。 結果を確かめる時間ではなく、結果をきっかけに本人の経験を掘り起こす時間にしていくことが、材料整理の中心になるでしょう。

なお、ここで扱うのは「材料を見つけて整理する」ところまでです。 そこから具体的なエピソードをふくらませたり、面接で口に出して伝えたりする段階は、また別の関わり方が必要になります。 まずは、語れる材料を本人と一緒にそろえていくことを目指します。

整理した材料を、自分の言葉にする

材料がそろってきたら、次はそれを誰にどう伝えるかという段階に入ります。 心理学では、このように自分についての情報を、自分から相手に伝えていくことを自己開示と呼びます。 自己PRは、まさにこの自己開示の一つの形だと言えるでしょう。

ここで先生が意識したいのは、伝え方の答えを決めてしまわないことです。 整理した材料をどう言葉にするか、どの経験を選んで語るかは、本人が決める部分です。 先生が「こう書きなさい」と文章まで用意してしまうと、できあがった自己PRは学生自身のものではなくなってしまいます。 自分の言葉で語れてこそ、面接などの場でも自然に伝わりやすくなるでしょう。

先生の役割は、答えを渡すことよりも、選べる材料を並べて見せることにあります。 「この経験とこの経験、どちらのほうが自分らしいと思う?」というように、選ぶ余地を残した問いかけが、本人の主体的な整理を後押しします。 主役はあくまで学生本人であり、先生はその整理に伴走する立場だと考えると、関わり方の力の入れどころが見えてくるのではないでしょうか。

まとめ

最後に、要点を整理します。

  • 学生が強みを書けないのは、経験不足というより、自分を一段上から見る力(メタ認知)にまだ慣れていないためだと考えられます。先生が外から見えている姿を言葉にして返すことが助けになります。
  • 検査結果はそのまま自己PRになるものではなく、「考える材料」です。結果を答えとして渡すのではなく、その傾向が表れた場面を本人にたずね、経験と結びつけていくことが材料整理の中心になります。
  • 整理した材料を自分の言葉にする(自己開示)段階では、伝え方の答えを決めず、選べる材料を並べて本人に選んでもらいます。主役は学生本人です。

自己PRの指導は、うまい文章を書かせることが目的ではないでしょう。 検査結果を手がかりに、学生が自分の経験を「伝える材料」として整理できるよう支えることが、その先の就職活動を自分の足で歩む力につながっていきます。

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