「検査は一次面接の前?それとも後?」
適性検査を導入するとき、実施タイミングは工数や費用の都合で決めてしまいがちです。けれど、この選択で変わるのは手間だけではありません。面接官が「何を知った状態で候補者に会うか」が変わり、面接で見えるものまで変わってきます。
変わるのは、面接官が何を知った状態で会うかです
同じ候補者でも、検査結果を見てから面接に入った面接官と、見ずに入った面接官とでは、聞き方が変わります。
たとえば「慎重で、決断に時間をかける傾向」という結果を先に見ていると、候補者が少し考えてから答えただけで「やはり慎重なタイプだ」と受け取りやすくなります。反対に結果を知らずに会えば、同じ間合いを「言葉を選んでいる」「丁寧に答えている」と受け取ったかもしれません。候補者は何も変わっていないのに、面接官の受け止め方が動いているわけです。
心理学では、事前に得た情報が、その後の見方や判断に影響することがあります。最初に「たぶんこういう人だろう」という見立てができると、今度はそれを裏づける材料に目が向きやすくなります。これは「確証バイアス」と呼ばれる傾向の一つです。面接で起きやすいバイアスのなかでも、事前情報がきっかけになるこの流れは、注意しているつもりでも起こりやすいものでしょう。
ここで確認しておきたいのは、事前に結果を見ることが常に悪い、という話ではないことです。深く聞きたい点をあらかじめ絞れる、という利点も確かにあります。ただ、その利点と引き換えに、面接が「事前の見立てを確かめる場」に近づきやすくなる。実施タイミングを決めるとは、この得失のどちらを取るかを決めることでもあります。
タイミング別に、向いているケース・向いていないケースを見る
では、具体的にどこへ置けばよいのでしょうか。ここでは代表的な4つのタイミングを、向いているケースと向いていないケースの両面から並べてみます。
応募直後(書類選考とあわせて)
応募が非常に多く、面接に進む人数を早い段階で絞り込む必要がある場合に向いています。全員分のデータが早くそろうので、その後の選考設計もしやすくなります。
一方で、まだ会っていない段階の情報が「その人の印象」として残りやすく、以降の選考すべてに影響しやすい置き方でもあります。応募数がそこまで多くないのであれば、この段階まで前倒しする必要は薄いでしょう。なお、一つの尺度だけで候補者を機械的にふるい落とすのではなく、面接などの情報と組み合わせて判断することが大切です。
一次面接の前
面接の準備に活かしたい場合に向いています。限られた時間のなかで、どの経験を深く聞くかを事前に決めておけるのは実務上の利点です。
ただし、面接官がその結果を見た状態で面接に臨むことになるため、先ほど触れた事前情報の影響を受けやすいタイミングでもあります。この置き方を選ぶなら、後述する「誰が見るか」の設計とセットで考えたいところです。
一次面接の後(二次の前)
面接を独立した評価として保ちたい場合に向いています。一次面接は事前情報なしでフラットに行い、その後で検査結果を見て、二次面接で確かめたい点を組み立てる。適性検査と面接を「別軸」として扱う考え方とも相性がよい置き方です。
向いていないのは、応募数が非常に多く、一次面接の負荷そのものを下げたい場合です。一次に進む人数がそのまま受検人数になるため、絞り込みの手段としては働きません。
最終選考の前
最終判断の材料として、それまでの面接で得た理解を別の角度から補いたい場合に向いています。人数が絞られているので、実施コストも抑えられます。
ただし、最終段階では、それまでの評価や採用意向がある程度固まっていることもあります。そのため、結果から気になる点が見つかっても、改めて十分に確認する時間を取りにくく、判断材料というより「念のための確認」で終わりやすい面があります。
こうして並べてみると、正解が一つに決まるものではないことがわかります。応募人数、面接の回数、誰が面接を担当するかによって、置くべき場所は変わってきます。
「誰が、いつ結果を見るか」まで決める
実施タイミングと同じくらい効いてくるのが、結果を「誰が、いつ見るか」です。ここを決めていないと、せっかく一次面接の後に検査を置いても、結果が全員に共有されて事前情報になってしまうことがあります。
たとえば、検査自体は早い段階で実施しておき、結果は人事だけが持っておく。面接官には検査結果を渡さず、まずは面接自体の基準に沿って評価してもらう。そのうえで、面接の評価が出そろってから両方を突き合わせる――こうすれば、実施タイミングの都合と、面接の独立性を両立させやすくなります。実施が早いこと自体より、その結果を誰がいつ目にするかのほうが、面接への影響は大きいのです。
突き合わせたときに、面接の印象と検査の傾向が食い違うこともあります。そのときは、どちらかを正解とせず「なぜズレているのか」を考える場面と捉えるとよいでしょう。面接では見えにくい傾向が出ていることも、その日の場面ではたまたま違う面が出ていたことも、どちらもありえます。
まず手をつけるとすれば、自社の選考フローを一度書き出して、そこに「検査を実施する位置」と「結果を見る人・見るタイミング」を書き込んでみることです。実施タイミングだけを議論していると見えにくい部分が、書き出すとはっきりします。
まとめ
最後に、要点を整理します。
- 実施タイミングを決めるということは、面接官が何を知った状態で候補者に会うかを決めることでもあります。事前に得た情報は、その後の見方に影響することがあるためです。
- どのタイミングにも向いているケースと向いていないケースがあります。応募数、面接の回数、結果を活かせる余地から、自社に合う位置を選ぶとよいでしょう。
- 「いつ実施するか」と同じくらい、「誰が、いつ結果を見るか」が効いてきます。実施は早くても、面接官に事前共有しなければ、検査結果に面接が引っ張られるのを避けやすくなります。
選考フローの設計は、運用の効率だけの話ではありません。どの情報を、誰が、どの順番で受け取るかを決めることが、判断の質そのものを左右します。まずは自社のフロー図に検査の位置を書き込むところから始めてみてはいかがでしょうか。
\ 検査を「どこに置くか」で、見えるものが変わります /
面接の印象と検査の結果を、どの順番で受け取り、どう突き合わせるか。面接だけに頼らず、適性検査を採用判断にどう組み合わせるかを、無料資料にまとめました。採用判断前の最終チェックリスト付きです。
▶ 無料資料「面接だけに頼らない採用判断ガイド」をダウンロード
SurveyYOUでできること
SurveyYOUは、性格特性や知的能力、思考タイプなど、複数の視点から人物理解を支援する適性検査です。Web受検のため実施タイミングを選考フローに合わせて調整しやすく、結果を人事だけが確認して面接後に突き合わせる、といった運用にも対応できます。合否を機械的に決めるためのものではなく、候補者を多面的に理解するための補完データとして活用いただけます。

