「入学直後? それとも就活の前?」――検査を年間予定のどこに置くか、迷っていませんか
適性検査を導入するとき、実施の時期は予算や行事の都合で決めてしまいがちです。けれど、いつ実施するかによって、学生が結果をどう受け止めるか、先生がそれをどう支援につなげられるかも変わってきます。ここでは、学校のスケジュールに沿って「どの段階で、何のために使うか」を一緒に考えてみます。
なぜ「いつ使うか」で活かし方が変わるのか
同じ検査でも、進路をぼんやり考え始めた時期に受けるのと、就職活動を目前にした時期に受けるのとでは、学生の受け止め方が違ってきます。まだ進路を意識していない学生に結果を渡しても、自分ごととして考えにくいことがあるでしょう。
進路や環境が変わる節目を控えると、人は自分や周りをあらためて見直す機会が増えます。進学、実習、就職活動の開始といった場面は、学生にとってそうした節目にあたります。心理学者のシュロスバーグは、こうした人生の変わり目を「転機(トランジション)」と呼び、その転機にどう適応していくかを支えることの大切さを示しました。適応を支える手がかりとして、状況・自己・支援・戦略といった視点を点検する考え方(4Sモデル)も知られています。
ここから見えてくるのは、節目の少し手前に自己理解の材料があると、学生も先生も動きやすくなる、ということです。学生は「自分はどんなことに力を発揮しやすいのか」をあらかじめ考えたうえで節目に向かえますし、先生も、その材料をもとに面談や声かけを組み立てやすくなります。実施時期を決めるとは、この「支援しやすいタイミング」をどこに置くかを決めることでもあるのです。
学校のスケジュールに沿った実施時期の例
では、具体的にどの段階で使うとよいのでしょうか。学校の種類によって進路の節目が異なるため、実施時期・目的・先生の関わりをセットで整理してみます。実際の時期は学校ごとの行事やカリキュラムで変わりますので、あくまで一つの目安として捉えてください。
高校
進学か就職か、あるいはどの分野に進むかを考え始める時期――学校によって幅はありますが、たとえば2年生の後半から3年生の前半ごろに実施すると、自己理解の入口として役立ちやすいでしょう。この段階での目的は、進路を絞り込むことよりも、「自分はどんな場面で力が出るのか」に気づき、選択肢を広げて考えるきっかけをつくることです。先生は、結果を材料にしながら「どんなときに前向きになれたか」を一緒に言葉にしていくと、学生が自分の進路を主体的に考えやすくなります。自己理解を進路支援の土台としてどう捉えるかは、なぜ今、学生に「自己分析」が必要なのかでも紹介しています。
専門学校
就職活動が本格的に始まる前――たとえば活動開始の1〜2か月前ごろに実施すると、自己PRや面接の準備につなげやすくなります。目的は、自分の強みや持ち味を、応募書類や面接で伝えられる言葉にしていくことです。先生は、検査結果と本人が実際に取り組んできたことを照らし合わせながら、「これはこう伝えると強みになりそうだね」と、伝える材料を一緒に整理していく関わりが役立つでしょう。検査結果から伝える材料をまとめる流れは、自己分析を自己PRにつなげるでも紹介しています。
大学(中堅以下を想定)
就職活動の開始時期や自己分析の進み方は大学によって異なります。ここでは、自己理解を丁寧に支援する場面が比較的多い中堅以下の大学を想定して考えてみます。インターンシップや就職活動が動き出す前――たとえば3年生のインターンシップに向けた時期に実施すると、早い段階での自己分析の出発点になります。目的は、自分の強みや興味を整理し、どの方向で経験を積むかを考える手がかりを持つことです。先生は、まだ進路が固まっていない学生に対して、結果を「決めつけ」ではなく「考えるための材料」として渡し、これから何を試してみたいかを一緒に描いていくとよいでしょう。
一度受けて終わりにせず、節目ごとに見返す
実施時期を考えるうえで、もう一つ大切なのが「一度受けたら終わり」にしない、という視点です。自己理解は一回の検査で完成するものではなく、経験を重ねるなかで少しずつ深まっていくものでしょう。
検査結果はあくまで「答え」ではなく「考えるための材料」です。入学時に受けた結果を、就職活動を控えた時期にあらためて見返すと、「あのときはこう思っていたけれど、今は少し違う」と感じることもあります。そうした変化に気づくこと自体が、学生の自己理解を前に進めてくれます。もし本人の実感と結果がずれていても、どちらかを正解と決めず、「なぜそう感じるのか」を一緒に考える機会にできるとよいでしょう。
こう考えると、検査を置くのは一か所とは限りません。入学時に自己理解の入口として、進路検討の前に見直しの材料として、というように、学校の節目に合わせて何度か立ち返る使い方もできます。面談で結果をどう返していくかは、検査結果を学生にどう伝える?面談でのフィードバックの進め方もあわせてご覧ください。
まとめ
最後に、要点を整理します。
- 実施の時期によって、学生の受け止め方や先生の支援のしやすさが変わります。進路が変わる節目の少し手前に自己理解の材料があると、学生も先生も動きやすくなります。
- 高校・専門学校・大学では進路の節目が異なるため、「いつ実施するか」だけでなく「何のためにその時期なのか」まで合わせて考えると、面談や声かけにつなげやすくなります。
- 検査は一度受けて終わりにせず、節目ごとに見返す材料として使うと、自己理解を段階的に深める支援になります。
実施時期に決まった正解はありません。それでも、自校のスケジュールを一度書き出し、「どの節目の手前に、何のために置くか」を考えてみることが、検査を活かす第一歩になるでしょう。
\ 自校のスケジュールに合った使い方を考える一歩に /
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コアスキルでできること
コアスキルは、学生が「今の自分」を客観的に知るための学生向け自己分析診断テストです。
8つの性格タイプや社会人に求められる力(社会人基礎力)の傾向がわかり、学生自身の自己PRや面接・ES対策に活用できます。
先生にとっては、学生との面談を進めるための材料としてお使いいただけます。結果は学生を評価するためのものではなく、一人ひとりが力を発揮しやすい進路を考えるための材料として役立つでしょう。

